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キスをして
第9章 小塚の本懐
言葉に詰まった所でスマホを取り上げられた。

「今会いたくないみたいですよ」

私から取り上げた黒沢さんは佐伯さんの制止を無視して話し始めた。かすかに聞こえる誠司の声にもう恐怖しかない。

「もう遅いので泊まらせます」

『――――』

「俺は律香不安にさせたくてあんたと一緒にさせようとしたんじゃねぇよ。律香も俺になら言いたい事言えるみたいだし?律香困らせんなら俺が連れて帰る」

「ちょっと何勝手に切ってるんですか!?」

「何勝手な事言ってるのよ!あんたは!」

「佐伯悪いが律香の事は任せといてくれ」

「橘さん、眞木もし小塚さんから連絡あったら俺が連れて帰ったって言って下さい」

私の腕を掴んで有無を言わせず外に連れ出した。黙って足早に駅とは逆方向に歩く黒沢さんついて行くのがやっとでお酒を飲み過ぎた体は息が激しく上がっていく。

「迎えに来るかな」

「?」

「あの人は絶対間宮を捜すだろ。俺殴られたりして」

一駅近く歩いた所でやっと腕を離された。荒れた息を整えながら声を出そうとするが出てこない。どうやら早く動きすぎたらしく酔いが完全に回っている。

「律香?大丈夫か?」

「ダメ…グルグルしてる」

「悪いそんなに酔ってるとは思わなかった」

「…私も」

歩道の柵に腰掛けて買ってきてくれたお茶で酔いが落ち着くのを待つ。
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