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キスをして
第9章 小塚の本懐
「寒くないか?」
「大丈夫。むしろこの寒さが凄く気持ちいい」
「なんで変な無理するんだよ」
「え?」
「泣きたい時怒ったり笑ったりして誤魔化すのやめろ。佐伯すら気付く位酷かった」
無理か…確かにそうかも知れない。さっき素直に誠司に迎えに来て貰ったところで皆の前で罵倒しかねなかった。
本当は何も言って貰えなかったことにも仕事のことを誤魔化されていたことにも悲しかった。
付き合ってたった一週間で何でも言って貰えると過信していた自分にも。
事情があったのかも知れないと納得させようとしてもその当て付けな理由すらも言われなかった事実は変わらない。
「俺は泣かれても大丈夫だから、つけ込んだりしねぇよ」
「ふふっ、つけ込むなんて出来るの?」
「律香、さっき眞木から連絡あって小塚さんこっち向かってるって橘さんに方向教えるように言われたらしい‥俺信用ねぇよな」
「私は信用してるよ」
「小塚さんと帰れるか?帰れないなら―」
「やめて!黒沢さんとは帰らないから。帰るって言ったら困るクセに。いい奴ぶらないでよ」
「だな。ちょっと羨ましかっただけだよ」
「羨ましい?」
「俺にはそんな反応しなかったしな」
「そうだね」
「少しは否定しろよ。ちょっと位はあのおっさんに仕返しできたか?」
「どうかな…でもちょっといい気味かな」
「大丈夫。むしろこの寒さが凄く気持ちいい」
「なんで変な無理するんだよ」
「え?」
「泣きたい時怒ったり笑ったりして誤魔化すのやめろ。佐伯すら気付く位酷かった」
無理か…確かにそうかも知れない。さっき素直に誠司に迎えに来て貰ったところで皆の前で罵倒しかねなかった。
本当は何も言って貰えなかったことにも仕事のことを誤魔化されていたことにも悲しかった。
付き合ってたった一週間で何でも言って貰えると過信していた自分にも。
事情があったのかも知れないと納得させようとしてもその当て付けな理由すらも言われなかった事実は変わらない。
「俺は泣かれても大丈夫だから、つけ込んだりしねぇよ」
「ふふっ、つけ込むなんて出来るの?」
「律香、さっき眞木から連絡あって小塚さんこっち向かってるって橘さんに方向教えるように言われたらしい‥俺信用ねぇよな」
「私は信用してるよ」
「小塚さんと帰れるか?帰れないなら―」
「やめて!黒沢さんとは帰らないから。帰るって言ったら困るクセに。いい奴ぶらないでよ」
「だな。ちょっと羨ましかっただけだよ」
「羨ましい?」
「俺にはそんな反応しなかったしな」
「そうだね」
「少しは否定しろよ。ちょっと位はあのおっさんに仕返しできたか?」
「どうかな…でもちょっといい気味かな」