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キスをして
第10章 珍事と感傷
「居ないし」

『明日から来ない』そう言われたから期待なんてあんまりしてなかったけど家には居なかった。
3日の昼に一時帰ってきたけど物音一つしない。

「やっぱり明日にすれば良かったかな」

アパートに帰って洗濯機を回して新しい着替えを用意する。
後一週間もすれば仕事は一時落ち着きそうだ。
送ったラインも既読にはなったけど返信はない。
スイスから帰ってきてから何だか忙しそうだ。
聞けば答えてくれるかも知れないけど何もかも聞くわけにはいかない。本当は飲み会後のホテルで聞いたスイスの理由が気になっていた。

お世話になった人というのはお祖父さんの知り合いの人だろうか。容態は芳しくない。弱気なときに私に連絡するのが嫌だった。
そんな事を淡々と言えるのはどうでも良い時かまだ自分で整理仕切れていない時。
確実に後者な筈。
そんな事を深く聞くなんて私には出来ない。容態が良くなったのかすら聞けない。

「全然分かりやすくないよ…」

ラインの返事はいつもすぐに返ってくるのに返ってこない。それだけで片隅に置いていたもやもやが広がってくる。
年始に家にいないなんて深く考える事じゃない。実家に帰ってるだけかも知れないし出掛けてるだけかも知れないのに何を深く考えようとしてるんだろう。

「たまに一人だと思考が暗くなっちゃうなぁ。疲れてるせいもあるだろうけどさ」

明日から営業だって言ってたし気にする事じゃないよね。

―――――

「ん~~っ」

思い切り伸びをすると頭がクラクラする。

「間宮限界なら一回帰って寝てきて良いぞ」

「大丈夫ですよ朝には一通り終われますから」

「速いな相変わらず」

「背中痛~」

一時帰宅から5日目にしてやっとまともに帰れそうで肩の荷が少し下ろせそうだ。
そんな会話を午前4時に交わす異常さには頭が慣れた。
今日が日曜日で良かった。帰って泥のように寝よう。

あれから連絡はしていない。
連絡をして来ないなら私からもしつこく連絡はしたくない。

「橘さん帰らないんですか?」

「一昨日家で寝たしな」

「基準可笑しいですよ」

面白いことなど言っていないのに笑えるのは二人して限界な証拠。
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