この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
キスをして
第10章 珍事と感傷
「大丈夫だお前には才能がある。人の何倍も勉強してきたんだ自信は持ちなさい。全くお前は本当にそんなとこばかり彼奴に似てるよ。わしは孫だろうと向かない奴に教えたりはせん」

「誠ちゃんスイスに留学するの?」

「おばあちゃん父さん激怒するかな‥」

「あの子が怒ったら私が怒ってあげるわよ」

「はははははっ最っ強じゃん俺」

祖父母を味方に付けて説得し続けた。
何度父に頭を下げたのか分からない。
しかし、結局は「勝手にしろ!」と怒鳴られただけで完全な了承は得られなかった。
高校を卒業し卒業式の翌日には単身スイスへ向かった。
ダヴィッド夫妻は快く迎え入れてくれ時計の技術・語学も教えてくれた。もちろんスイスでのマナーも嫌気がさすぐらいしつこかった。
完璧とまでは言えない語学力も時計職人の専門学校に入ればすぐについていけるようになった。
毎月祖父から葉書が届いた。内容はいつも同じだ。元気にしているか、勉強は順調か、友達は出来たか、おばあちゃんと喧嘩したとかたわいないことだ。

学校を卒業しスイスでの仕事も慣れた頃毎月祖父から届いていた葉書が途絶えた。気にはなっていたが日本に帰る余裕などなかった。

「誠司君。お姉さんから電話が入ってるわ」

「後で掛け直すって伝えて下さい。これが終わったらこっちから掛けます」

「誠司君出た方がいい」

葉書の事が頭を過ぎった。
届かなくなった葉書をもっと深く考えるべきだったんだ。

―おじいちゃんが倒れたの。帰ってきて―

姉はいつだって俺の味方だった。
姉はいつも好きなことをしている人だ。だからこそ父に俺のことを言われたときもそうだった。

「いいんじゃない?お父さんがなるわけじゃないじゃない。誠司が時計技師諦めたとして誠司のやりたいことが新しく見つからなかったら責任取れるの?」

我ながらキツい姉だとは思う。
/340ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ