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キスをして
第10章 珍事と感傷
勝手に良いのかなと思いつつ断れなくて合い鍵を使って店側からリビングまで取りに行く。

「泥棒になった気分だわ」

後ろめたい気がして電気を点けることもせずに冷蔵庫とお酒の収納棚を漁る。

「好み聞けば良かった何を飲むのか全然分かんない‥それにしても種類有り過ぎじゃない?」

ビールに酎ハイはもちろんワインにウイスキー・ブランデー・日本酒・焼酎・リキュール各種洋酒が一通り揃っている。
バーでもする気なのかと疑いたくなる。

多すぎる種類に目移りしながら物色していると階段の軋む音が聞こえた。

ヤバッ!帰ってきた!?

隠れる場所もないのにあたふたしながら持てるだけお酒を持つ。

「律香ちゃん。見つかった?」

「はぁ~。なぁ~んだお姉さんでしたか」

「ごめん。驚かせたわね。ご飯出来たから迎えに来たわよ」

目に付いたものを手に取ってお姉さんと部屋に戻った。

「美味しそう」

「味には自信あるのよね~にしても野菜とかあんまりなかったよね」

「す‥すみません」

「違う違う!忙しいんだなって思ってたのよ!」

「あぁ‥忙しいって言えば忙しいんですけど」

パスタをつつきながら気さくに話してくれるお姉さんに楽しくなってきてお酒のペースも進んでくる。

「御馳走様でした。すっごく美味しかったです」

「どういたしまして」

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