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キスをして
第10章 珍事と感傷
「違うわよ~。アレは優しさじゃなくて私の躾よ」

躾?とな?

「いつ来ても良いようにクッキー生地は冷凍されてたでしょ。私お茶にはお菓子が欲しいのよ」

そんな理由だったの?

「でも怒らないですよね」

「怒ったところで私気にしないから無駄な事はしないのよ。あいつは‥その顔は律香ちゃんには怒ることあるのね?」

怒るよりは呆れてる確率の方が高い気がするけど。

「ねぇ。律香ちゃんは誠司が好き?」

「え‥好きです‥よ?」

「余計ついでに聞いていい?誠司が結婚とか言い出したらどうする?」

‥‥‥‥‥けっこん?

「いやいやいや!考えたことないですよ!」

「え~ないの~?律香ちゃん妹に欲しいのに」

「誠司さんだって考えてないんじゃないですか?」

「考えてないのかな…」

一瞬下調べかと思ったけど思案し始めたところを見るとお姉さんが勝手に言いだしたらしい。
付き合ってすぐでそんな事考えてないよ。
確かに誠司もいい歳だけど……そうだよ!いい歳だよね!?…考えてないよね?

「ところで律香ちゃん。気付いてないから放って置いたんだけど誠司から着信来てるんだよね」

「え!?」

音を消していたせいで全く気付かなかった!
目の前で私に画面を見せてくれるお姉さんから受け取ろうとすると私には渡さずに自分の耳に当てた。
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