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キスをして
第11章 小塚誠司
最低。腰どころか全てが重い。
加減とか知らないのかなあの男は···。
朝から嬉しそうに送ってくれたけど送迎まで全てが計算だったのではないかと思える。
そしてその計算に悉く引っ掛かる私も相当馬鹿かもしれない。

「りっちゃん顔死んでるよ?」

「放っといてください」

日下さんには悪いけど空気を読まない人が悪い。

それでも夕飯をキッチリ挟む辺りは流石と言うべきかそこまでするのは只のバカなのか。
どちらにしても彼にそんな事が言えるはずがない。

「間宮。早朝会議」

確実に何かを確信して憐れみの目を向ける橘さんに促されて会議室に向かう。
進捗状況を聞きながらあまり回らない頭で資料に目を通す。

「取り敢えずは全員サポート大丈夫だな。後社長から3週間後にバーベキューを開催するようにってことで店を予約されているので出来るだけ全員参加」

「ホントに慰安会するんですか!?」

「間宮の言いたいことは分かってる。そんな暇どこにあるんだって言いたいんだよな。やるんだよ貴重な俺達の日曜日に」

「···鬼だ。日曜日に出勤すらしてるのに休ませてまで会社の飲み会かよ」

「だが安心しろ。家族恋人参加OKだ」

むしろ条件の難易度上がってます。
言ってる橘さんが一番うんざりしてるじゃないですか。

「橘さん。そんな事言ってますけど風呂ってどうするんですか?」

肝心だよね。一番肝心だよ。
休日すらまともに取れない私達にとって人を呼んで良いってなると普段泊まり込みでお風呂に入っていない私達は窮地に立たされる。

寧ろ店にも迷惑だ。

「問題はそこだよ。真木。そこは仕方ないから俺の満喫シャワー割引券を配ろう」

自腹じゃん

「それでもシャワーに行く30分が厳しいという気持ちが痛いほどよく分かるのでここはやむ無し間宮に犠牲になってもらう」

「······は?」

「仕事の早い間宮なら皆に30分を作ってやれるはずだ!」

「何で私なんですか!?」

「昨日の仕事で急ぎは終わっていると知っている。そして今週から土日休みにする気でいることは今までのパターンから把握している」


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