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キスをして
第3章 間宮の憂鬱
ガサッ…

玄関を開けるとドアノブに紙袋が掛かっている。

あ……
小塚さんだ。
張り付けてある付箋に名前は書いてないけど流暢な落ち着いた文字はあの人だ。

『お疲れ様です』

私が帰ってきてたの知ってたんだ。
中を見ると私が好きなカスタードプリンとビターチョコレートが入っている。

シルバーの容器に入ったプリンは手作り?
私は紙袋を持って会社に向かうことにした。

流石に小塚時計店の灯りは消えている。大通りに出てタクシーを捕まえ会社に急いだ。

事務所に入るとまだ日下さんは来ていない。

「まだ捕まらないの?」

「すみません。まだです」

日下さんのデスクトップを開きデータを探す。

「何部?」

「100です」

100部か時間掛かりそうだな。思わず溜息が漏れる。

印刷をかけ、切ってラミネートを掛けていく。
他のメンバーも今日は帰らせてしまっているから2人でこなすしかない。

作業を始めて1時間。

橘さんと日下さんが2人で帰ってきてくれなんとか朝までには終われた。

「日下、今度奢れよ」

「私中華食べたいです」

「間宮さん中華良いですね~。僕エビチリ食べたい」

「好きだね~エビ」

「日下、朝一出前よろしく」

「マジか」
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