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キスをして
第12章 律香と誠司
いつの間に眠ったのか覚えていないが下着だけは身に付けているし汚れたりはしていない。

強いて言うなら喉がカラカラになっていることくらいだ。
見渡しても水らしき物は見当たらないところをみるとどうやら自分で取りに行く他ないらしい。

億劫になる身体を無理矢理起こして身体の上に乗った誠司の腕を起こさないようにずらしていく。
ベッドから立ち上がろうと身を起こした。

「り··つ?」

掴まれた手首を引き寄せられて誠司の上に乗せられる。

「あの··水が飲みたいんだけど」

「ん」

寝惚けてる。
誠司の上に仰向けに乗せられて苦しくなる体勢をどうにかしたいが抱き枕にでもされているのかと言いたくなるくらい抱き締められて身動きがとれない。

「誠司っ離して!」

「ん」

「んじゃないでしょ!」

時間になればさっさと起きるくせに気がないと一切起きない男に遠慮をしてはいけないと既に理解している。

何より段々絞められている。

「──っこのっ··起きなさい!!」

───ガツッ

「いっ!た」

「離して」

「···何度も言うけど普通に起こして」

「いつも言うけど私起こしましたけど!?」

確かに肘で殴ったのは悪かったかも知れないけど私落ちかけてたし。

「俺の扱い雑になってない?」

「なってません」

「そうかな··どこ行こうとしてたの?」

「水が飲みたくて」

「取ってくるよ」

私をベッドに転ばせて上半身裸のまま部屋を出て行った。

「よく考えたら私服も着ずに何やってんの··」

全く誠司と付き合う前はこんな事しなかったのに。
誠司に慣れたのか私がだらしなくなったのかはどっちも考えたくないけど自分が緩くなってることはよく分かる。
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