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キスをして
第12章 律香と誠司
「でも··俺らが言うと拗れるかもって黒沢さんがぁ」

「ちょっと」

「でも黙っとくのはマズイですよ。俺言いますよ」

「止めろっ。他人の事に首突っ込むな!」

「そんな大事なこと黙っとく方が問題ですよ!分かってますか!?スイスですよ!?スイス!新幹線ですぐそこのレベルじゃないですよ!?」

踵を返して間宮の元へ行こうとする真木が入り口で止まった。

「!······~···ぁの···」

「····ごめん。聞いちゃってたよ··」

「あの間宮さん」

「間宮」

「ははっ··ウケる。そんな事知らないの私だけとか?」

顔から色が消えていくのが分かった。
口元を両手で隠して覇気のない笑い声を溢しながら綺麗に整えられた眉が歪んでいく。

泣くのではないかと思った。

声が震え出すのと同時に身体も震え出しているのが遠目でも分かる。

泣いているところなど見られたくないだろうと駆け寄ろうとしたがそれは律香の言葉で止められた。

「真木君。これ仕上げお願いして良いかな」

言葉が意味していることは誰にでも分かった。
踏み込んではいけない。
切り換えようとする律香に追い討ちを掛ける事はここにいる誰にも出来なかった。

用件だけを伝えてデスクに戻った律香を放っておくことは誰も出来ずいつも通りに作業をしながら様子を窺う。
重苦しい雰囲気が事務所の中に充満して物音一つ立てることが憚られる。

重く静まり返った事務所に場の空気を変えられるだろう人物が一人戻ってきた。
空気の悪さを直ぐに察知したであろう橘さんは辺りを見回して律香の元へ歩いていく。

「間宮。後どれくらい」

「····コレとヤマパチの広告の仕上げがあります」

「デザインは出来てるんだな」

「はい、配色の調整が残ってます」

「うーん····配色は俺が見るからそれ終わったら帰れな。顔色悪いわ」
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