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キスをして
第12章 律香と誠司
月曜から様子がおかしい。
着信を残してもメッセージを送っても彼女から一切の返事がない。
思い当たることは一つだけある。
日下さんから彼女に漏れた可能性だ。
どんなに忙しくても一言位は返事をする律が反応しないのはそれしか考え付かなかった。
理由がそれならしつこく連絡を取ったところで反応がある筈がない。
いつ掛かってきても良いようにと作業台に置かれたスマホを鳴ってもいないのに何度も確認する。
明日は土曜だから通常なら休んでいる彼女を捕まえるしか話をする方法はないように思う。
何度目かの溜め息を吐いたと同時に着信が鳴った。
「はい」
電話の相手の呼び出しの理由に断る事が出来ず不躾な誘いに乗ることにした。
作業用のTシャツに作業場に掛けっぱなしになっていたシャツを羽織って表に出た。
「車は?」
「近くのパーキングに」
「呑むよな」
「はい。いつものとこで良いですよ」
黙ったまま二人で一駅先のバーに移動する。
「いらっしゃいませ」
「いつもと同じで。奥空いてる?」
「空いてますよ」
フロアの奥にあるカーテンで仕切られた個室に入っていく。
向かい合わせにソファに座り直ぐに運ばれたワインを口に運ぶ。
「今日呼んだのは」
「律にバレた」
「···やっぱり分かってたんですね」
「あの人が黙っているなんて思ってないからな。それにそろそろ言わないとマズイとは思ってたんだ」
「そろそろって··もっと早く言えたでしょう!」
グラスが机に音を立てて置かれた。
「早くても遅くても彼女が出す結論は変わらないと思わないか?」
「····だからってアイツの事も考えろよ」
「考えてるよ。だから言わなかったんだ··」
それに俺が言った後彼女に会うだけの余裕を持てるとは思えなかった。
結局自分の甘さと律の優しさに甘えただけだ。
着信を残してもメッセージを送っても彼女から一切の返事がない。
思い当たることは一つだけある。
日下さんから彼女に漏れた可能性だ。
どんなに忙しくても一言位は返事をする律が反応しないのはそれしか考え付かなかった。
理由がそれならしつこく連絡を取ったところで反応がある筈がない。
いつ掛かってきても良いようにと作業台に置かれたスマホを鳴ってもいないのに何度も確認する。
明日は土曜だから通常なら休んでいる彼女を捕まえるしか話をする方法はないように思う。
何度目かの溜め息を吐いたと同時に着信が鳴った。
「はい」
電話の相手の呼び出しの理由に断る事が出来ず不躾な誘いに乗ることにした。
作業用のTシャツに作業場に掛けっぱなしになっていたシャツを羽織って表に出た。
「車は?」
「近くのパーキングに」
「呑むよな」
「はい。いつものとこで良いですよ」
黙ったまま二人で一駅先のバーに移動する。
「いらっしゃいませ」
「いつもと同じで。奥空いてる?」
「空いてますよ」
フロアの奥にあるカーテンで仕切られた個室に入っていく。
向かい合わせにソファに座り直ぐに運ばれたワインを口に運ぶ。
「今日呼んだのは」
「律にバレた」
「···やっぱり分かってたんですね」
「あの人が黙っているなんて思ってないからな。それにそろそろ言わないとマズイとは思ってたんだ」
「そろそろって··もっと早く言えたでしょう!」
グラスが机に音を立てて置かれた。
「早くても遅くても彼女が出す結論は変わらないと思わないか?」
「····だからってアイツの事も考えろよ」
「考えてるよ。だから言わなかったんだ··」
それに俺が言った後彼女に会うだけの余裕を持てるとは思えなかった。
結局自分の甘さと律の優しさに甘えただけだ。