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キスをして
第12章 律香と誠司
「後悔··か」
あれからもう2週間が経っていた。
いつまでも返事を先伸ばしにしていても何かが変わる訳じゃない。
あんなによく出会っていた誠司も会わないとなれば一度も顔を会わせない。
それだけ誠司が機会を作ってくれていたんだと実感する。
答えなくちゃいけない。
私はきっとどんな選択をしても辛いと思ってしまう。
毎日送られてきていたメッセージも最後の日から一度も送られていない。
それが少し寂しくてそれなのにほっとしている自分にうんざりする。
駅を出てタクシーに乗って家に帰る。
前なら歩いていたのに誠司と連絡が取れないとなると歩いて帰ることに不安を感じる様になった。
商店街の前で降ろしてもらってコンビニの前を通ってロータリーに向かう。
いつもくたくたになって歩いていた道がいつの間にか楽しい記憶に塗り変わっている。
もう小塚時計店の看板も照明も何もない。
カーテンが閉められたままの店舗がもう誰も居ないんじゃないかと思える。
遅くに帰ってきてここの明かりが点いているのがとても落ち着けた。
夜は静まり返るこの場所に温もりが感じられたのだ。
物音ひとつしない店舗には人気がない。
でも二階の窓から明かりが漏れている。
握り締めていたスマホからアドレスを表示した。
5度目の呼び出し音で目的の相手が慌てたような息遣いで出た。
「今、下にいるの。会えないかな」
店舗の灯りが小さく灯る。
「おつかれさま」
優しく微笑みながら奥へと通してくれる。
久し振りに入った店舗にはもう何もなかった。
作業場に所狭しと置かれていた箱達ももうなくなっていた。
こんなにここは広かっただろうか。
あれからもう2週間が経っていた。
いつまでも返事を先伸ばしにしていても何かが変わる訳じゃない。
あんなによく出会っていた誠司も会わないとなれば一度も顔を会わせない。
それだけ誠司が機会を作ってくれていたんだと実感する。
答えなくちゃいけない。
私はきっとどんな選択をしても辛いと思ってしまう。
毎日送られてきていたメッセージも最後の日から一度も送られていない。
それが少し寂しくてそれなのにほっとしている自分にうんざりする。
駅を出てタクシーに乗って家に帰る。
前なら歩いていたのに誠司と連絡が取れないとなると歩いて帰ることに不安を感じる様になった。
商店街の前で降ろしてもらってコンビニの前を通ってロータリーに向かう。
いつもくたくたになって歩いていた道がいつの間にか楽しい記憶に塗り変わっている。
もう小塚時計店の看板も照明も何もない。
カーテンが閉められたままの店舗がもう誰も居ないんじゃないかと思える。
遅くに帰ってきてここの明かりが点いているのがとても落ち着けた。
夜は静まり返るこの場所に温もりが感じられたのだ。
物音ひとつしない店舗には人気がない。
でも二階の窓から明かりが漏れている。
握り締めていたスマホからアドレスを表示した。
5度目の呼び出し音で目的の相手が慌てたような息遣いで出た。
「今、下にいるの。会えないかな」
店舗の灯りが小さく灯る。
「おつかれさま」
優しく微笑みながら奥へと通してくれる。
久し振りに入った店舗にはもう何もなかった。
作業場に所狭しと置かれていた箱達ももうなくなっていた。
こんなにここは広かっただろうか。