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キスをして
第13章 律香の本懐
「あれ?間宮さん時計止まってます?」

「ん~?コレねぇ調子悪いんだよね」

「外さないんですか?」

「お祖母ちゃんの形見だから」

「間宮ちゃん良かったら私預かりましょうか」

「ママに?」

「時計屋さんじゃないけど心当たりがあるわ」

「本当?かなり古いから直せるところあんまりないよ?」

「もし駄目だったら返すわよ」

「じゃあお願いしようかな」

腕に着けた時計を外してママに渡した。

6年近く前に直して定期的にメンテナンスをしていたけどもうしてくれる人も居なくて結局時間が狂ってしまった。

「そう言えば最近橘さんと仲良いらしいじゃないですか」

「······その情報どこ経由よ」

「何?間宮ちゃんに彼氏が!?」

「まさか!」

「あり得ないレベルなんですか?」

「有り得ないね。身内みたいなものだよ」

「身内···でも橘さんってずっと彼女居ないじゃないですか。ちょっと位そういう雰囲気なりません?」

「ならない」

なるわけがない。
あの人に限ってそれはない。
絶対的な自信がある。

「本当にないんですね」

「ないよ」

「じゃあ橘さんに女の人紹介して良いですか」

「どうぞ。まともな人薦めてあげてね」

確かに橘さんもいつまでも私の面倒見てる訳にもいかないし紹介してあげられるならその方がいい。

「私そろそろ帰るね。昼までに仕上げたいのあるし」

「呑んでて良かったんですか?」

「うん。仮眠とってすれば問題ない」

「送りましょうか」

「タクシー捕まえるから平気。真木君も早く帰ってあげないと彼氏君寂しいんじゃない?」

「分かってますよ」

仲が良さそうで何よりだわ。
人の幸せに和んでてどうするんだと思うが嫉妬する程人に興味は持てない。
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