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キスをして
第3章 間宮の憂鬱
コンビニで買い物をすませアパートに着くと小塚時計店に電気が点っている。

急いで部屋に戻りプリンの容器を持って下に降りた。

まだ電気点いてる。容器を返してお礼を言って直ぐに帰ればいい。

深呼吸をして扉をノックした。
中からこちらに歩いてくる音がして鍵の開く音がした。

「こんばんは、すみません遅くにプリン美味しかったです。ありがとうございました!おやすみなさい」

プリンの容器を前につきだし頭を下げて反応を待つ。

「は?」

…………は?
今低い声がしたような…
上を向くといつものにこやかな笑顔が私を見下ろしていた。

「お礼に来たなら中に入ってください」

「もう夜も遅いし悪いですから」

後ろに下がろうとすると突き出した手を引かれ中に入れられてしまった。

「寒いんで上がって下さい」

「でも「上がって?」

眼が笑ってないです。小塚さん。

結局私は小塚さんに逆らえもせずのこのこついて行ってしまう。
どうして小塚さんに強く出れないんだろう。他の人にはあっさり拒絶出来てしまえるのに。

店舗スペースから続く工房スペースに入る。いつもはここで話すのに小塚さんは小上がりを上がって奥にある階段を昇っていく。

「小塚さん私ここで…」

「間宮さん」

今日機嫌悪かったのかな…。
いつものようににこやかだけど冷たい。
上に昇って良いのかな…

いつもより威圧感が強い…
でもどうして?
逃げようって思えない……。
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