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キスをして
第13章 律香の本懐
「···ごめん」

「ん~?落ち着いた?」

「ごめん··気を使わせてるよね」

「そんな事は気にしないで」

「もぅ··大丈夫」

離れようとすると離れる気など全く無いように腕が解かれない。

「あの··」

「まだ、俺はまだ足りてない」

「なんでそんな事言うの」

顔が見えないから落ち着いて話が出来る。
顔を合わせたらきっと言葉が出てこない。

「距離取ってるんじゃないの」

「思ってたけど律を泣かせるくらいならやめる」

都合の良い解釈などすべきではないのに感情は素直で誠司の背に腕を回したいと思いつつも誠司の真意が分からなくて服を掴むに留まる。

「ありがとう。一緒に居てあげたいけど今日は遅いからもう帰るよ」

伝わらないのかな。
解かれた腕が離れていくのが寂しくて仕方ない。

『今日は』と言った誠司が二度と来ないんじゃないだろうかと思えてならない。

あの頃みたいに素直にならずに後悔したくない。
ちゃんと素直にしていれば良かった。
ちゃんと甘えていれば良かった。
そうすれば誠司がプロポーズしてくれた時に別れたくないと言えたのかも知れない。
落ち着くまで待っているからと言えたのかも知れない。

もう私はあんな想いをしたくない。

階段を下り始める誠司を引き留めた。

「り··つ?」

袖の裾を掴むのがやっとだった。
また誤魔化されたら拒否されたらと中で渦を巻き始めている。

「意味わかってるでしょ····?」

掴んだ手が怖がっているのが自分でも分かる。

「···それは俺が聞きたかったんだけど」

私の手を掴んで距離を詰める。

さっきまでとは違う強い視線に身体に熱が籠る。
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