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キスをして
第4章 間宮の受難
「良かった」

「良くはないですよ」

「最近そんなに何日も帰ってこない事なんてなかったから男でも出来たのかと思った」

「小塚さんには関係ないでしょ?」

「飲む相手が居ないとつまらないじゃないですか」

飲み友的な意味合いか。ヤキモチでも妬かれたのかと思ってしまった。あんな事があったから私も少し自惚れてるのかも恥ずかしい。

食事を終えて店を出る頃には20時半を迎えていた。
お酒を飲んで温まった体は外の冷気が心地いい。

「寒くないですか?」

そんな心配をしてくれる小塚さんは本当によく気が付く人だ。

「大丈夫ですよ、御馳走様でした。今度は奢りますね」

「次回があるんですか?」

「あ、今のなし。うっかり間違えて言っちゃいました」

「今の台詞聞かなかったことにします。次回はあるって事で」

焦ってる小塚さんにちょっと勝てたような気がして嬉しい。
そんな下らない言い合いをしながら歩いているとすぐにアパートに着いた。

「社員証2階にあるんで取りに来て下さい、入って」

「待ってますよ」

「ここ寒いから、早く」

後ろから急かされて押し流されるように奥へ奥へと来てしまった。
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