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キスをして
第4章 間宮の受難
小塚さんが眞木君を見送りに階下に降りている間に私は食器を棚に片付けて帰り支度を済ました。

「帰るんですか?」

戻ってきた小塚さんに行く先を阻まれて帰れない。
私が右に行けば右に、行き左に行けば左に行き歩幅で負ける分私の体力だけが奪われる。

「さすがにもう帰らないと!8時過ぎには出ないと間に合いません!!」

「今日は遅刻するんでしょう?」

「本当にするわけにはいきません。寝坊なんて理由言える訳ないじゃないですか」

「大丈夫。水漏れがおきて水道業者待ちだと言うように眞木さんにお願いしておきました」

この人休み慣れてる‥
よくそんな言い訳思いついたわね。

「あの子はなんでそんな話に」

「プリンのレシピを教えてあげたら喜んで引き受けてくれました」

眞木君人を勝手に売り飛ばしちゃ駄目だよ!

「取り敢えずシャワー浴びてきたらどうですか?」

「家に帰って入ります」

「どうしたら間宮さんは言うことを素直に聞いてくれるんですかね」

そんな悲しそうな顔してしょんぼりしないでよ。私が悪いみたいになっちゃうじゃない。

「そうか。服を剥ぎ取ってしまえば家には帰れませんよね?」

「シャワー借ります!」

邪悪な笑顔に逆らえず勢いで返事をしてしまったが人の家で裸になるとは何とも落ち着かない。
見られたことはあるけどそれでも気恥ずかしくなる。

「さすが一軒家うちより広い」

ちょっと嬉しい。しかもお風呂沸かしてくれてたのね。
帰す気など無かったって事なんだろうけど。
考えない。考えない。
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