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キスをして
第2章 間宮と小塚
外の日差しが眩しい。
ここ3日程冷え込んだ日が続いていたが今日は日が見えている。

もう10時になって日が高くなっている。溜まっていた洗濯物を回して、まだ覚めきらない頭を起こそうと顔を洗って、湯を沸かす。
カウンターの引き出しからコーヒーのパックを出してカップにセットしながら一日の予定を立てる。

せっかく晴れているしシーツと布団を干そう。冷蔵庫には何もなかったから買い物にも行かなくちゃ。
ネイルも塗り直さないといけないし、小塚さんにも断りの電話を入れなくちゃいけない。

仕事が入ったとでも言っておけば彼も気を悪くはしないだろう。一方的に約束してきたのは向こうなのだから。
少し申し訳ない気もするがなんだか彼と出掛けることが億劫に感じる。

洗濯を終えて2回目の洗濯を始めて買い物に出る頃には11時半を過ぎていた。
ファンデーションと眉だけのメイクをしてアパートの階段を下りると丁度彼が客を送り出している最中だった。

とっさに私は階段の壁に身を隠した。

「ありがとうございました」

彼の声が聞こえて暫くしてからアパートから出る。

「間宮さんは今日はお仕事なさそうですね」
ビクッッ

ゆっくりと声がしてた方向を向くと階段を降りてすぐの建物の陰からイタズラな笑顔を浮かべながら彼が話しかけてきた。

どうやら私は待ち伏せされていたようだ。しかも行動を読まれている。

「見えてましたよ?」

からかうようにクスクス笑いながら私の顔を覗いてくる。

「じゃあ時間通り待ってますね」

またも一方的に確認して彼は足早に店内に戻っていった。
彼は人の話を聞くということをしないのだろうかと思ったが黙って人の話を聞いていることも偶にはあるのだからやっぱりわざとなんだろうな。

ここでじっとしていると彼が来ないとも限らないから足早に買い物に向かった。
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