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キスをして
第2章 間宮と小塚
なってしまった17時…。
ソロソロと階段を降りたら丁度店前の看板を片付けるところだった。

「こんばんは間宮さん」

「こんばんは」

………………

何?この沈黙。小塚さんは私を見たままにこにこしながら見てくる。私は居たたまれず思わず目を逸らした。

「僕。車持ってないのでタクシーで行きますか?それとも電車で行きますか?」

「えーと、じゃあ電車で」

「分かりました。チケット取ってくるので待っていて下さい」

そう言いながら小塚さんは足早に店の中に入っていった。
二人でタクシーに並んで座ることに何だか気恥ずかしさを感じ電車を選択したがよくよく考えれば2人で歩いたこともないからそれはそれでなんだか落ち着かない。

でも車持ってなかったんだ。

「お待たせしました。じゃあ行きましょうか」

特段変わった事が起きるわけもなく小塚さんはいつも通りで…いや、話をちゃんと聞いている。そこが一番重要だ。

小塚さんと歩くと彼の落ち着いた格好良さを再認識させられる。
いつもはおろしている髪を掻き上げているせいか普段よりも男らしい。
180cmは軽くあるだろう長身と長い手足は普段のだぼっとした作業着では影を潜めていたが今日は白とグレーのボーダーTシャツに黒のスキニーを穿き、深めのグリーンのジャケットを着ているせいか若干色気が出過ぎてしまっている位だ。

「どうかしました?」

小塚さんが不思議そうな顔で私をのぞき込んでいた。
どうやら私は観察するあまり見過ぎていたらしい。
そんな自分が恥ずかしくなって思わず下を向いた。しかも最近は薄暗いライトの中でしか彼を見てなかったから綺麗すぎる顔を近付けられると直視できない。

「何でもないです」

きっと顔も少し赤いだろう。
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