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キスをして
第5章 小塚の本領
小塚さんをそんなに苛つかせる人ってどんな人だろう。
血筋ならばきっときれいな人だろうとは思うけど。

「いつものが丁度切らしてて。オレンジ好きですか?」

「オレンジピールは好き」

「じゃあこれで」

ラミネートされた綴りをパラパラ捲りながら書いてある通りに配分しハーブティーを入れていく。

その御丁寧な物もお姉さんが用意したのかな?

「弟にこんな手間かけるような姉だから困るんですよ」

溜め息混じり出されたハーブティーは甘いオレンジの香りが漂い、気分が落ち着く。
「美味しい!」

「それは良かった」

カウンターでキッチンのスツールに座った小塚さんと向かい合わせに座り別に何かを話すわけでもなくただお茶を飲むだけ。

ゆっくりと流れる時間は心地いい。
もう1時半を過ぎているのに眠くならないのはまだ気持ちが落ち着いていないからだろうか。

「間宮さん」

呼びかけに顔を上げるが私の顔は見ていない。

「帰りが遅い日は連絡して下さい」

「大丈夫ですよ!今日みたいな事初めてですから」

「気付いたのが初めてなだけかもしれないじゃないですか。せめて酔っ払いの多い金曜くらいは頼って下さい」

「い「やとは言わせません。もし言ったら強制送迎します」
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