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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第17章 2人のアドルフ
「・・・
もう動いて良いですよパウリーネ」
「はいクルス様」
あの幻の夜会は夜会、数日経ってルークの方は先発で居城を出た。
ルークもナチ党親衛隊、何時までも消息不明にしておく訳にはいかないのが現状。
「これで躰の傷痕は無い筈です、後はゆっくりルークを待ってあげて下さい」
「えっ?
クルス様!?」
私の意図を感じ取ったのかパウリーネは真っ赤、傷1つ無いパウリーネを見てルークも喜ぶでしょう。
「私も何時までも居城という訳にもいきません、ルークを追って次はベルリンです」
「ベルリン‥ですか?
ラジヲでは、あまり良い話は入って来ません」
「ええ‥
随分派閥争いが深刻化していますから、情報も錯綜しているのでしょう‥
大丈夫ですよパウリーネ、時勢というのはなるようにしかならないものです」
賽は投げられている‥
今更後戻りなど効く筈も無く、独国は悪い方に転がる‥これが時勢。
不安そうに私を見るパウリーネには話しませんが‥
「クルス様も外なんですね‥
私はお2人の無事を祈っています」
「心配ありませんよ‥
私やルークが、そうそう何かある訳がないです‥
いざとなったら私がルークを守りますからね」
不思議な程の心の変化‥
パウリーネが居るせいなのか、私の中にルークを守らなければならないという心が生まれたのは確か。