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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第21章 ルークと盟主の契約
「・・・本当に・・・行くんですね・・・テレーザ・・・」
「・・・はい、コンラート様・・・
ただの伝令です、また独国に戻って来れますから・・・」
「暫しの別れ‥
それでも寂しいですよ私は‥
これが伝令渡航用の書類一式です、本当は貴方に渡したくない」
テレーザが暮らしている親衛隊の官舎の前で、さもわざとらしい別れの言葉‥
そのテレーザといえば既に車へ荷物を積み終え、後は私の持つ渡航許可書類を待つだけの身。
「・・・すぐとは言えませんが、またコンラート様の元に戻って来れます‥
私も寂しいです」
「必ず戻って来て下さいテレーザ‥
そしてまた2人での時間を過ごしましょう」
「・・・はい・・・」
テレーザの腕を引き、私の躰に抱き締めてから、最後の挨拶とばかりに、触れるだけのキスを交わす。
「・・・行って来ます、コンラート様」
「ええ、待っていますよテレーザ」
少しの抱擁の後、テレーザは書類を持って車へと乗り込み、国境線へと向かって行った。
「・・ふふ
寂しいのでしたら、すぐに会えますよ‥
そう、すぐにです」
消えゆく車を背にして私も歩き出す、これからテレーザを追い掛けなければならない。
全ての謎と決着の為に。