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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第23章 暮れ落ちる黄昏の時
日が頂点に上がれば、必ず日没という落ちる時間がやって来る‥
私とは違い、普通の人間、普通の世界は上り落ちる時は早い。
ベルリン-官邸
(・・・
随分と殺伐としましたね)
私が居城に居て、少しベルリンを離れている間に戦況は一気に悪化‥
アドルフは昼でも籠もっているか、支離滅裂な事を言って高官達を困らせている、そうヒムラーから聞いた。
それを踏まえ、こうして夜の官邸にやって来た‥
アドルフの真偽を確かめる為に、それにベルリンには別の用件もある。
"コンコン・・"
「入りますよアドルフ」
断りを入れてアドルフの私室に入って見れば、普段の私が好むような窓辺に腰掛け星空を見ているアドルフが居た。
「・・・漸く来たか、意外にギリギリだったな?
分かっているんだろう、もう私がこうして表に出る力も少ない事を‥」
「ええ‥‥
エルンストが居なくなり、何時かはこの日が来るのを知ってはいました、傲慢なアドルフ?」
エルンスト・クラフトが最後に言った事‥
『私が消えれば、何れは生み出した指導者は消える』
そう、傲慢なアドルフはもう消える寸前、私も敢えて手出ししなかった。
「もう表のアドルフに私の声は届かない‥
私も表のアドルフの行動が見えない‥
多分今こうして表に出た事で、私は完全に消え去るだろう」