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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第26章 稀少種の運命-金銀盟主-
心配性のルークが2階部分へのロープを張り安全を取ってから、今度こそ私達は2階へと登った。
「朽ちている場所と残っている場所の差が大きいですね‥
それでも応接間は完全に、大広間は半分以上は残っていますか」
「広ければ崩れるのも大きい」
「それもそうです‥
崩れながらも残っているだけで上々、見る事は出来ますので‥
また霧が出て来ましたか‥‥」
立ち込める霧を見ながら、私は朽ちてあるか無いか程度の応接間の扉を開く‥
中は朽ちながらも、当時の面影は残っている。
ソファーは朽ちたが大理石のテーブル‥
当時飾っていた置物‥
広い窓、ガラスは無いが‥
そんな覚えのある懐かしさに耽っていたら、霧が晴れ思っていた当時の幻影が姿を表した。
『また1人・・・』
『今年は3人目ですね‥あなた‥』
そこに居たのは、金の盟主と銀の盟主‥
つまり母と父。
だがその表情は冴えない、話のニュアンス的に稀少種の誰かが死んだ、それもこの年は3人と。
寿命の長い稀少種が連続的に倒れるのは稀の話、それなのに1年で3人‥
確実に衰退の表れ、血の限界を2人も感じていたのだろう。