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桜木母娘の奮闘記
第1章 敵
パチン
パチン
一定の感覚を空けて、その音は鳴る。
暖かい日差しのもとで縁側に腰掛けながら、あなたを見ているのが好き。
『整ってきたねー』
あたしなんて、気にしないでいいよ。
これは独り言なの。
だから構わず、目の前の作業に集中すればいいのに、あなたは…
「いいや、まだまだ。
前回の半分以下だよ」
わざわざその愛くるしい笑顔を、あたしに向けてくれる。
白いティーシャツは背中の汗をじんわりと抱いていた。
あなたの体のシルエットが、よくわかる時なんだ。
パチン
パチン
枝は次々と切り落とされていく。
それでも、そこから見えてくるあなたの芸術を目の当たりにできた瞬間は
いつもいつも、あたしを感動させてくれる。
『暑くない?』
「楽しいから、平気だよ」
ああ
ずるい。
そんな嬉しそうな目を見せられたら、たまったものじゃない。
あなたはどこまで素敵な人なんだろう。
………