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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「出来たよ。」
「……。」
何も返事をせずに、昨晩の様に……そう全てが当たり前かの様にドカッと椅子に座り勝手に私のタバコを吸う。
「要らないの?要るの?」
「……要るからここに座ってるんだろ」
「じゃあ返事くらいしたら良いでしょ。」
「ケツ叩いたヤツに何で返事するんだよ」
「朝起きなかったのは誰?はじめは優しく起こしてましたけど」
スープをすすりながらそう言うとバツの悪そうな顔をして、お箸を持ってとても器用に焼き鮭の骨を取っていく彼。
寝起きだというのに、顔は浮腫んでいない。肌も透き通る様に綺麗だし──何ていうかゲームの中から出てきた人物と食事をしているみたいだ。
昨日は酔っぱらってたからこそ、ああいう風にラーメンを食べれたけど素面になってみると……私の家でコイツが寝てる事も、こうやって向かい合いながら朝食を取っている事も不思議でならない。
「何だよ。俺の顔に何か付いてんのか」
「綺麗だな、と思ってみてた」
「はあ?」
「──あんたさ、その『はあ?』って辞めたら?ガキでも無いんだし」
「……もう良い。俺の顔見んなよ」
「アンタこそ見ないで」
プイッと頬を膨らませて、左を向く。
──でも何故か、また彼の方を見てしまった。
バッチリと合う目。
「ははっ、おめえの負けだな」
子供の様な目の前の男は、怒ったと思ったら笑うと云う──ガキな男を表すプロフェッショナルだった。