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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「……。」
「言い過ぎた?」
「いや、そういう訳じゃない。」
手を止めて、お箸を置き──テヒョンは私を黙って見つめた。
「リサ」
「はい。」
「お前は、財閥の息子や娘を──浮世離れした人間、だと思うか?」
「言ったでしょ。一切、思わない。」
「相手が誰であっても?」
「うーん……。」
「スケールを大きくすると、私達ってみんな同じ人間でしょ、哺乳類。」
「そこにプラスアルファーで資産やスタイルが付いてくる」
「皇族出身であっても、財閥出身であっても、ハリウッドスター家族出身であっても、パパとママがセックスして生まれたのがその子供なワケじゃん」
「じゃあ別に浮世離れ、してないでしょ。私が『次元違うな』と思うのは、宇宙人くらいよ。そりゃお金の使い方で、違いを感じる事はあっても根本は同じ人間だもん」
「それプラスの性格だと思う、人間関係のキーポイントは。」
「『私は財閥の娘よ?』って態度で来られて、世界で一つしかないシャネルのバッグを持ってても──浮世離れとは思わない。ただ『バカな女』って思うだけ」
「なるほど」
「何に納得したの?」
思わず、笑ってしまった。目の前の男が急に素直になるから──だ。
「お前の価値観。」
「普通の事よ」
「いや、お前は変わってる」
「だから言ったでしょ?アンタがフツーじゃない人とばっかり関わってきたから、私がクレイジーに見えるだけ。世間一般から見れば私が普通なのよ」
おもむろに立ち上がり、人の家の冷蔵庫から勝手にレモンティーを出した彼。
何故か知らないが、どこにマグカップが有るのかも正確に分かっていたみたいで、青と白のペアカップをテーブルの上に出した。
『少し、真面目な話しませんか?』