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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「何?」
「俺はお前を変わってると思う。「だから変わってないって」
「人の話は最後まで聞けよ」
「……。」
「俺がサファイアになって、もう10年。デビューしてない時は、誰も見向きもしなかった。だけどデビューして……韓国での賞を総ナメし出した頃から『見向きもしない事があり得なくなった』んだ。意味わかるか?」
「注目されて当たり前って事?」
「そう。注目されて当たり前、媚びられて当たり前、俺の言う事を聞いて当たり前、全てが当たり前になった。まるで財閥の一人息子みたいな扱いをされた」
「寄ってくる女は、胸元開けてる女か……わざと知的に見せてる女かの何方かだった。でも両方に言えるのは、俺がデビューしていない頃は鼻で笑ってた様な女たちだったってコト」
「『お金じゃない』とか『レッテルじゃない』って言いながらも、本心が見え隠れするのが女だ。そしてそれを暴くのが頭の良い男だ」
「興味がないフリをして、お金に興味がないフリをして──女は女優になる。俺に必死に追いかけさせるために。でも本心では俺に興味を持っている」
「追いかけてほしいって事は、そういう事だもんね」
「そうだ。それがわかるんだよ、俺には」
「……。」
「でも、お前は違った。俺たちの名前も何も知らずに喧嘩を売ってきて、かと思えば『会社の為に』っていう他の女とは違った本心を見え隠れさせながら、曲作りを手伝った」
「実際に、俺に興味がなかった。お前が興味を持ったのはポスターの車、だ」
「……。俺、お前に『韓国人の男』として端から眼中に入れられてないのが嬉しかった」
「はあ?!」
「そりゃ、母国を嫌うヤツは憎いよ。でもそれ以上に、心の底から嫌ってくれた事が嬉しかった。」
「匿名掲示板に俺の悪口を書いているアンチのヤツだって、俺が本気で落としにかかったら俺の金と名声に直ぐに寄ってくる。それは嫌いの反対は好き、だから」
「でもそれは、対個人にだけ適応される論理だ。」
「国、となると歴史問題も含め、嫌いは嫌いのままで終わってしまう。」
「国として韓国を嫌い、人として韓国人を相手にしない。そんなお前だけど──実は、繊細で子供で、誰よりも『人を人として見てる』と俺は思う」