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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆
きっと、さっきの英語も流暢とは言えないと思う。
それでも良いんだ。
留学もしていない私が、お酒を含んだ脳であの会話を翻訳して、そして言い返せることが出来ただけで今日は非常に満足な一日になった。同じ位、腹もたったけど。
特別仲良い訳ではないとしても同じ席にいる子の値踏みをされるのは人間誰でも腹がたつと思う。
ただ、それだけの問題。
仮にこの後ナンパされてこの子達が付いて行った・行ってない、もどうでも良い。値踏みという行為にムカついただけだから。
席に戻って、財布から20万ウォンを取り出して机の上に置いた。
ウォンは大体日本よりゼロがひとつ多いと覚えているから——計算が合っていれば日本円で二万円か、もしくは今の経済状況だと二万円とちょっとくらいだろう。
それでもこの位あれば十分私の飲み代くらいは払えると思う。ここは割り勘でいこう、という大阪魂が出た結果だった。
「なんか気分悪くなったから、私先に帰るわ。」
「あの男の子達って人気のアイドルか何かなん?」
「人気とかいうレベルじゃないよ。……皆、韓流ファンでは名前知らない人なんか居ないグループに属してる人だよ」
同じグループではないんだ。それは救いかも。グループ全員が性悪だなんて救い様がない。
「特にあの席の人なんて——。」
と弾丸トークがはじまりそうな愛に手をふって、私は店を出た。
はあ、早くホテルに帰ろう。