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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆
午後21時。何だかんだ部屋についたらもうこんな時間だった。
ロッテホテルの良い所は最上階にラウンジがあって、そしてロビーには美味しいケーキ屋さんがある所。
あそこのケーキ屋さんは割りと遅くまであいていたと思うな~と考えながら携帯を見た。
不在着信……名前を見なくてもわかる。リョウだろう。
どうしてか分からないけど、私はコールバックのボタンをタップしていた。
彼と切ろうと決心して、着信拒否までしたのに。
人間どうしてこうも、酔っぱらっている時やイライラしている時は予想も出来ない行動をしてしまうのか——…。もう一度大学に入学するとしたら、間違いなく私は心理学部に入るだろう。
「もしもーし」
「テンション高いなー」
「そりゃ、里紗からのコールバックだぜ。」
「ふーん。」
「あ、その"ふーん"っていう時は機嫌が悪い時だな。いつもとトーンが違う」
「何、あんた気持ち悪~」
過去を知らない人から見たら仲良しなカップルの会話だと思われるだろう。
でも、カップルじゃないし、これでも結構本気でリョウの事は嫌いになったりした。
二年という月日は大きかったのだろうか?私が、こうやってまたフツーに会話が出来る様になるなんて別れた当初では想像もできなかったと思う。
「聞いてくれへん?今なにしてるん?」
「今が例え合コンの途中でも楽屋でも前室でもお前に聞いてくれへん?なんて言われたら聞くしかないだろ」
あぁ、懐かしい。この言葉——。
少しだけ口角が上がった自分がドレッサーの鏡にうつった。
ルームサービスで頼んでおいたイチゴとモエシャンを味わいながら、さっきあった出来事を話してみた。
勿論、周りには誰も居ないからシャンパンはラッパ飲みだ。
こんな姿を祖母や母親が見たら怒り狂うに違いない。
吸わない煙草から煙が出てるし、シャンパンをラッパ飲みするし……どこからどう見てもオーダーメイドのスーツを着てる女がする事じゃない。