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シャネルを着た悪魔
第4章 ☆CHANEL NO4☆
会社に到着して直ぐに、代表室へ向かう私。
普段あまり行く事がないから緊張してしまう。背筋を伸ばして──勢いよく扉をたたいた。
「どうぞ」
「……失礼します」
予想より遥かに早く返事をされて、声が小さくなる。案外、小心者なのか?誰とでも話せる事が唯一の取柄なのに。
「柳沢さん、あけましておめでとう」
「代表、明けましておめでとうございます」
「すまないね、こんな新年早々呼び出す形になってしまって。……まあ、そこに楽に腰かけてくれ」
「はい。」
指さされたのは、柔らかそうなソファーだった。きっと何百万とする代物だろう。
「──これなんだが」
ガラステーブルの上に置かれたのは、私が今まで担当していた会社の情報がどっさりと書かれた資料だった。全部で30枚はくだらないだろう。
「何ですか?」
「引継ぎで、山梨君に担当してもらう事になった」
「……はい?」
「そして、これだ」
と次に渡されたのは段ボール。
「移動ですか?」
「そうなるのかな」
「どこですか?営業ですか?」
「いや、違う」
「じゃあドコですか?」
年齢的に、まだ受け付けも出来る。──でも不思議だった。
営業成績が悪いワケでもないし、先方からの評価も引継ぎらしい山梨よりは全然良かった。
「──君には、退職して貰おうと思ってね」
大上司が発した言葉は、到底想像もしていない言葉だった。