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シャネルを着た悪魔
第4章 ☆CHANEL NO4☆
「重要取引先である大手会社8件からイキナリ契約解除を申し込まれたんだ」
「契約解除ですか?」
「ああ。例えば君が担当していたドイツの”パシフィック・カンパニー”やブラジルの人気雑誌”ラテリーナ”からもね。」
「私のミスでしょうか?両方とも──担当していた会社です。」
「理由についての説明は無かったよ。担当を変える事でどうですか?と持ち掛けたが先方は柳沢リサが居る会社に任せられない。と一点張りだった」
「名前を?」
「そうだ、そこなんだ。君の個人名を出したんだよ。どの会社も」
「だけど出張報告を調べても、君の上司に聞いても、先方から契約を切られる様なミスはしていないし、むしろ相手には好かれてたと僕は読んでる」
「私も、そう思ってました。」
「だけど、そういわれたんだ。こっちとしては、その8社に契約を切られたら多大な利益を葬る事になる。分かってくれ、とは言いにくいんだが……。」
分からないとしょうがない。
私が居るんだったら契約を切る、と言われてまでも雇う会社なんて何処にもないだろう。
「でも、何で──」
だけど……気になるのは何故私がそこまでの問題を引き起こしてしまったのか。ただそれだけだった。
「何か、大きな力が動いている気がするんだ」
「大きな力?そんな小説みたいな事有ると思いますか?」
「実は昨日から僕の知人やお世話になってる人達にメールをしていてね」
「柳沢リサという仕事の出来る人物が居るから、雇ってやってほしいと頼み込んだんだ」
「でも君の名前を聞いた途端に──相手は黙り込む、必ず」
「そして『近藤、ゴメン。力になれない』と言うんだ。人手が足りていない事は明らかだし、君の力を説明しても結果は同じだった」
「……それ、本当の事ですか?お情けの言葉ではなくて?」
「違う。本当の事だ。何だったら通話履歴も君に見せれるよ」