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シャネルを着た悪魔
第4章 ☆CHANEL NO4☆
「何ですか、それ。まるで私が避けられてるみたいに」
と言ってすぐ、自分で『避けられている』事に気が付いた。
「……。分かるかね?──まあ、君に限ってそんな事は無いと思うんだが、誰か凄い人を怒らせたとかそういうのは無いかな?」
「凄い人って誰ですか?」
「権力者だよ。まるで今、話題の韓国財閥の様な力を持つ」
「そんなの無いですよ。しかも日本には財閥って有ってない様なモノでしょう。政治家と繋がりがあるワケでも、天皇と親戚なワケでもないし……」
「そんな世界──いや、怒らせるなんて全くないです」
段ボールに入ってある品々を見つめた。
入社した時から使ってる加湿器に、仕事用で買った東芝のノートパソコン、ずっと使ってたフェラーリのボールペンもある。
これを──使わなくなる日がくるなんて想像もしていなかった。
「でも」
「何だい?」
「言ってもしょうがないです。そりゃ、気になりますよ。私が誰に嫌われて何をしでかしたんだろうって」
「でも、向こうが一方的に知ってるだけで私は知らない相手、かもしれないです」
「もっと言ったら引継ぎの山梨さんの家が権力持ってて、我が息子に名誉を与えるために、そんな事をした可能性もあります」
「………。」
「何が原因でこうなってしまったのかを代表すら知らない中、私だけ知りたいなんて無理がありますよね」
「本当にすまない」
「いえ、もう……大丈夫です」
別に貯金が無い訳ではないし、家に帰れば何かしら売るものもある。
このご時世、代表の友達がしている様な大企業だけが人手不足なんじゃない、中小企業すらも人手不足だとわめいているのだ。
何かの力が働いていたとしても──、どうにかなる様に人生は出来ている。