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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆
聞き上手なリョウの笑い声が増える事と比例するようにシャンパンの量が減っていく。
「ははっ、お前も相変わらずだなあ。」
「だって~!腹立つねんもん!」
「なんなん?日本の女が全員自動ドアみたいにパーっと簡単に足開くとほんまに思ってるんかな?」
「まぁ韓国人全員がそう思ってる訳ではないと思うけど、中にはそう思ってるひとも居て……そして運悪くお前が今日そういった類いの野郎共に出会ってしまったって話だな」
「あ!またいつもみたいに簡単にまとめたやろ!」
「はは、ごめんごめん」
普段ツンケンしている私がこうやって子供みたいに会話出来るのは何よりも一年半年一緒に居たということが関係してると思う。
過ごした月日だけが問題ではないけれど、それでも女という生き物は一人の男と長く居ると仮面を被るのさえも面倒になってくるのだ。
「でも相変わらずで居てくれて嬉しいんやろう?」
「相変わらずで居たのは知ってたよ」
「えぇ!なんで!」
「お前にフェイスブックさえもブロックされたけど、別にマネージャーとかの携帯からお前の投稿見れるし」
「なにそれ……!」
「あんたほんまにそのままやとただのストーカーやで。二年間の空白があったのに、そんな事ばっかりしてたん?」
「いや、まあ勿論…」
「ええよええよ、無理はせんでええよ。週刊紙に何度か載ってたのは知ってるし」
完璧に出来上がった私。上司みたいに陽気になってきてる。
「ま、どんなに他の女抱いてみても結局はお前の投稿見て、相変わらずだな~と思うのが仕事の活力になるってことだよ」
「ふーん」
「そのトーンの"ふーん"は照れてる時。」
「——……」
こいつ、やっぱり私のこと良くわかってる。
「も……もう一時間も話してるやん!」
「忙しいやろうし——っていうか私が忙しいし!切るわ。おやすみ!」
一方的に無理に電話をきってから、何だか胸が踊るのを押さえる様にしてシャワーを浴びた。
早く寝よう。
明日も朝が早いんだから。