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シャネルを着た悪魔
第4章 ☆CHANEL NO4☆


「……ん~と、難しい話だね。まあ、とりあえずそこに座りなさい」

眼鏡を少しズラした紳士は、まるで赤ちゃんを宥める様に私に話しかけた。

さきほどで、もう枯れたと思っていたのに──また涙が出てきそうになってくる。



「買い取ってほしいのは、その指輪と時計、だね」

「……良いんですか!?」


「まずは物を見てからだ。その話が本当なら保証書も何も無いんだろう?」

「──はい。」


指輪と時計を外して、おじいさんに手渡す。

彼は白い手袋を付けて、何やら別の眼鏡を取りだすと──私の顔を一度、ジッとみてから鑑定師の表情になった。


「スターサファイア、か」

「時計はショパールだね」


「はい。」



「随分と良い身なりをしているのに、この時計は結構古い。お母さんからのもらい物か?」

店内に流れるラジオの音楽が止まった。

そして間もなくして、ニュースが読まれる。正月だというのに──また韓国の『例の財閥ニュース』だった。


「いやっ──。嫌いな人からのもらい物です」


そう、テヒョンからの──。



「────っ」


【韓国最大財閥である帝国グループのナンバー・ツー、イム・ヤンソンさんがローマ・コスメの代表取締役を辞任する運びになりました】


【韓国では、財閥の数有る問題行動が又浮き彫りになったと世論が激しく荒れています】


【まあ、日本とあまり変わらないハズの先進国である韓国が未だ財閥企業と財閥経済に頼っている事がおかしいんですよね】

【その中でも群を抜いていたのが帝国グループですし──これからどうなるか、本当に怖い所だと思いますよ】


思い浮かべたのは、あの時──。憎たらしい事を言いながら、憎たらしい『契約』を持ち掛けてきたSfireのリーダーの顔だった。




「ま………まさか」


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