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シャネルを着た悪魔
第5章 ☆CHANEL NO5☆
10分以上待っただろう、この座り心地最高の真っ黒の皮に包まれた高級そうなソファーで。
時計に埋め込まれているダイヤがキラリと光った時。
美人に案内された応接室のドアがゆっくりと開いた。反射的に椅子から立ち上がる私はまだまだ営業としてやっていけた筈なのになあ……。
「お待たせしました、リサさん」
さきほどの運転手さんとは、似ても似つかない声。
聞き覚えの有る──私が今、世界で最も嫌いな声だった。
「テヒョン」
「呼び捨てか」
「話があるの」
「何だ?仕事か?」
気怠そうで……大きな顔して……私の前に座られた時、みんなから『割と冷静だよね』と評価される私の堪忍袋の緒が切れた。