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シャネルを着た悪魔
第5章 ☆CHANEL NO5☆
「そんな事出来ないに決まってるだろ」
「──なんでっ!」
彼とは土俵が違い過ぎる。
もし弁護士を出しても、何かを出しても──きっと勝てっこないだろう。そして第一の問題として、そんな事を出来る余裕も資金もない。
「なんで、ここまでして俺の元へ来た女を自らの手で戻さないとダメなんだ」
「そんなっ」
「お前は何も知らない。」
「知りたくもない「この後に及んでも、まだ最後まで人の話聞けねえってか?」
乱暴に、バカラの灰皿でタバコを消すと細くて長い脚を組み替えた悪魔。
上から見下す様な目線は──本当に、憎んでも憎みきれないものだった。
ここに刃物があったら刺していたかもしれない。
冗談じゃなく、そこまで思ってしまう。
「俺はお前を手に入れるために使いたくない力を使った」
「ここで──おめえに誰も知らない全てのタネ明かしをしてやる」
「俺は──」
「俺、ソン・テヒョンは」
「帝国グループ代表の次男だ」