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シャネルを着た悪魔
第5章 ☆CHANEL NO5☆
予想していなかった。
確かに財閥である可能性は踏んでた。でも帝国グループだとは──思っても無かった。
「そ……そんな!あの日──私が聞いたら確かに違うって答えてたじゃない!」
「お前が聞いたのは、帝国グループ副社長イム・ヤンの息子じゃないでしょうね?っていう内容だっただろう。──俺は、代表のイム・ウンサンの息子だ。否定して何が悪い」
ここまで来たら──もう、ああ言えばこう言うってやつだ。そんなこと……。
あそこで否定されたから、私は帝国と目の前の男は何の関係もない、と信じきっていたのに。
「……婚外子だから、今回ローマ・コスメの代表を辞任した『アイツ』とは異母兄弟になる」
「お前も言ってたけど、韓国での標的は『財閥』と『芸能人』だ」
「そして財閥は芸能人を嫌う。日本みたいに芸能人の立場は高くない」
「だから──ほぼ疎遠状態だった。俺は芸能を選んで『アイツ』は会社を継ぐ事を選んだ」
「俺は自分の力で成功して、自分の力で今の地位も富も得た」
「でも過信していた『自分の力』だけじゃお前は手に入らなかった」
「だから──帝国グループ代表の次男という立場を使って代表秘書室のヒョンや古くから気にかけてくれてた親父の弟に頼み込んだのんだよ」
「お前の家を売れ、お前の口座を凍結させろ、お前のクレジットも使えない様に──そう、お前が俺の元へ来るしかない状態を作れってな」
「分かるか?俺は──自分が毛嫌いしてきて隠し通してきた力をお前の為に使った」
「だからこそ、もう一度言う」
「俺は、前の条件を飲まねえお前を元の巣へ返してやるほど優しい男じゃない」