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シャネルを着た悪魔
第5章 ☆CHANEL NO5☆
「ちょ、ちょっと待って」
「何だ?」
「韓国ドラマみたいに話しが進み過ぎてるんだけど」
「あなたが──帝国グループ代表の次男……?」
「ああ。だけど不倫相手の子。つまり『婚外子』だ。」
一日に、あまりにも衝撃的すぎる事実が私を襲い掛かっている。今すぐにでもパラダイスホテルの広い部屋の綺麗なベッドにダイブして眠りにつきたい。
「わ……私の資産は」
「俺と半年一緒に居ろ。そしたら──お前が望むなら、俺はお前に元通りの生活をプレゼントしてやる」
「勿論、契約金である現金一億円と一緒に」
せっかく塗りたくった資生堂のファンデーションが取れていくのが感覚で分かった。
原因は──そう、涙だ。
今日だけでかなり泣いている。でも人間ってのは不思議なモノで、涙が枯れる事なんかなくて──むしろ一度泣くと涙腺が緩くなってしまうのかもしれない。
「何でそういう事ばっかり言うの」
「ああ?」
「契約金とか、俺と生活したら元のライフスタイルに戻すとか──」
「そんな事してまで一緒に居たいの!?」
「そんな事してまで──嫌われてまで──側に置いておきたいの!?」
「何で私──何でっ……。」
「何で柳沢リサっていう、この普通の女を選んだのよ!」