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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆

韓国滞在三日目の夕日も落ちたころ。

ひょんな事から私は韓国支部のトップとナンバーツー、そして同じ国際営業課の女の子三人とASAOに来ていた。

勿論、お付き合いなのだから店名を見てから引き返すなんて出来ない。


昨日は打ち合わせで張り切り過ぎたし、丁度お酒も飲みたかった。場所が場所だけど……。


あの時のウェイターさんが私を見て少し驚いた顔をしていたのも面白かった。

ワインを飲みすぎた女という印象なのか、それともゲス野郎達に絡みに行った女という印象なのか、どっちなのかは分からない。


国際営業課の女の子たちは皆26歳。私が25歳。韓国はゼロ歳が無くて日本年齢+1歳になる。つまり、同じ年っていうこと。


だからだろう、何故か私は今日、結構楽しんでいる。

どうせ韓国支部の経費だし、という軽い気持ちではじまった私の一杯目はもう既に前回と同じく七杯目に差し掛かっていた。

ボトルを頼もうかな、と思ったけど『グラスで良いよ!グラスが好きなんでしょ?』と支部長に言われたらグラスで頼むしかない。

勿論グラスが好きとかボトルが好きとか、そういうのは一切ないんだけどね。


「リサオンニ~」

「オンニ?オンニって何?」

英語での会話は中々弾む。


「オンニは妹から見たお姉ちゃんっていう意味だよ」

「へえ~!って同じ年じゃん。」


「でもオンニは性格が男っぽいっていうか、なんかお姉ちゃんぽいからさ」


男っぽいって……と思いながらありがとう、と返して私は煙草を持ち席を立った。韓国では年上の方や目上の方がいる場合の煙草はダメらしい。


仕事柄韓国の人とも会う機会が多いリョウの助言で今回は店の前で一服することにした。

さすがに足元がフラついている。だからだろうか?この真冬の風がスゴく気持ち良い。

少しの間、壁にもたれて、目を瞑ってみた。


何だかんだ言いながら三日目になると、このお店の周りから聞こえるたくさんの韓国語にも慣れたなぁ。



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