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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆


「はぁ。」

韓国にきて、あと少しで一ヶ月が経とうとしているのに未だに携帯も持っていない。

この家はどうやら彼にとってのセカンドハウスの役割らしく、室内にパソコンすら見当たらない。有るのは有名な画家、ピエール・オギューストナル・ルトワールの複製品。

独特な色使いを用いて、子供や女性を描く事で知られている。……皮肉にも私はこの人の絵が大好きだった。


そう、大嫌いなヤツの家で大好きな人の絵を見るのだから心の底にある気持ちは計り知れたモノではない。

ネスカフェマシンが置いてある机の上には、見慣れた筆記体の手紙。


いつもなら帰宅時間や、その日の仕事内容が書いている。

でも──今日は違った。


歯ブラシをしながら、テレビを付ける事もなく、その手紙を読む。


そこに書いてあったのは──彼の予定ではなく『私の予定』だった。

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