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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆

少し痩せたのか?細くなった左手には今年の新作である深みのある青色のバッグ。

左下に目立たないほどの小さな”憎い男のマーク”。確か彼がこのバッグと一緒に見ていたのは……。

「ああ、これだ」

別の段ボールに眠る様にして入ってあったブラックの膝上3センチほどのワンピース。

形自体は、ウエストが少しくびれているよく有る綺麗な形だけど他の服と少し違う部分と云ったら──袖口5センチほどがヒョウ柄で胸元から腰にかけて真ん中に6つ付いている小ぶりのボタンがバッグと同じブルーという所だと思う。

お尻の部分に二つ、ポケットが付いているけどこれは飾りだろう。


多分彼なら──この格好ならベージュのハイヒールか季節を考えてシンプルな黒のブーツを合わせる。


「でも──」


今でも刺したいくらいに憎いし、これは『暴力』や『監禁』同然だとも思っている。


でも──それでも頭に浮かぶのは、彼の芸能人としてのセンス云々では無くて『人間としてのセンスの良さ』だった。


「最高なのよ、憎いくらいに……」


私の髪色や髪型が少し派手な感じだからだろう。服は比較的おとなしい──というか上品な感じで合わせている。

シャネルと云ったらもっと派手なのも有るはずなのに──。でもそれを選ばずに敢えて『引き算』を取り入れる彼のセンスには──本当に驚いた。


今、少し冷静になって一着づつ見ていくと余計に驚く部分がある。




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