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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
「おい!」
ビクッと一瞬だけ硬直する体。勢いよく顔を上げた。
「何で、こんな所で寝てんだよ」
「貴方──。」
「ああ?」
ボヤける視界。でも徐々に──ピントが合ってきた。と同時に、目の前の男の髪が明るい金髪である事がわかる。
「………。ソン・テヒョン」
「──何だ?変な薬でも飲んだのか?」
窓のカーテンは閉まっていた。
「ち、違う」
「………。」
言えるだろうか?
何となく覚えのある男が狙撃された瞬間を夢とはいえ、この目で──しっかり見たと。
そして──その男と悪魔を被せてしまった、と。
言えないに決まってた。考えるだけ無駄だ。
「ゴメン。変な夢見てた」
伏せて寝ていたため、枕代わりだった腕は汗でびっしょりだった。
「……。まあいいけど。」
「で、この飯何?」
「──作ったの。一緒に食べようと思って待ってた」
「はあ?お前が作ったのかよ?」
「何、悪い?」
「いや──」
マスクを取って、上品でシンプルなバッグを椅子の上に置く彼。
「驚いた。」
「いつも作ってくれてるでしょ」
「まあ、そうだけど」
「嬉しいなら素直にうれしいっていえば?」
「嬉しいっつーか──お前が何で心変わりしたのか、それが俺は怖い」
「アンタね、惚れた女の『本性』見抜けてないんじゃない?」
「はあ?」
前髪を掻き揚げてから、透明のグラスに冷えた水を注いだ。
勿論、二つ。
「私、伊達に営業でトップしてなかったの」
「そして伊達に──『憎い力』を使わせる、つまり帝国グループの力を使わせてまでも私の事を手に入れようとする男に好かれてないのよ」
「腹くくった時が一番強いってわかんない?」