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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
「そういえば、お兄さんどうなったの?」
「え?」
「何で驚くのよ」
「いや」
私が彼の家族の事を気にしたからか?
普通の話題を出したからか?
彼の顔は本当にびっくりした顔だった──。
「ローマ・コスメの代表は降りたけどまだ今の所は帝国グループの副社長。来月、株主総会が臨時開催されるから、そこで処分が決まるんじゃねえの」
「警察は?」
「警察には金渡してるだろうから、書類送検で終わりだろ」
──実刑がない、ってことかな。
「ま、俺も一か月前のあの出来事以来は連絡取ってねえし、あの一族の事は分からない」
「でも戻ってきてくれ、とは言われてるんでしょ?どうせ」
「ああ。だけど戻るも戻らねえも、サファイアがここまで来てしまった以上は俺一人の判断じゃねえだろ」
「それはそうね」
「まあ──」
コーヒーに口を付けてから、遠い目をする彼。
「なに?」
今度は私が彼に問いかける。
「ヒョン達は嬉しかったみたいだな。疎遠だった俺に、どんな形であれ『一族の力でしか解決できない事』を頼まれて」
「憎くても愛が勝つってワケね」
「だろうな。それが『血』なのか何なのかは分からねえけど」
「血だけじゃないでしょ」
「何でそう思う?」
「『血』が全てを決めるのなら、秘書室の方は貴方にチカラは貸さない。こんな忙しい時に。でしょ?」
「普通なら兄貴の世話をするわ。そっちの方が出世の道は開けるんだし」
「でも貴方にチカラを貸した」
「だから──血、はそこまで関係ないと思うけど」
そう言った時、丁度曲が変わった。
今度、画面に映ったのは──私が見た事ない『ソン・テヒョン』が派手な化粧をして派手な衣装を着て、いわゆる”キメて”広いドームで歌っている姿だった。