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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
「コリア センファレ イスッケジョッソヨ?」
彼女は私が韓国語を習っているのも知っている。
分かり易い単語を並べて疑問形で聞いてくれたため、意味は理解できた。
”韓国にはなれましたか?”だ。
「あー、イクスッケ・ジョッソムニダ!」
”慣れました”を胸をはって答えてみたが、どうやらウソと分かったみたい。
「really?」
「………ウソ、少しだけ。ね」
整形は少ししかしていないだろう。ナチュラルな笑顔で微笑んでくれる彼女。
「でも彼氏さんがお金出してくれてれんでしょ?ここの。凄く優しい人よね」
「そうですかね?」
「ええ。韓国の男は見栄張りなのよ。自分の女には綺麗で居てほしいし仲間にそれを自慢したいの」
「でも口先だけで『ああしろ、こうしろ』と言う男が多いのも事実よ」
「ここまで、投資して貰えるんだから……リサさんは本当に素晴らしい男を見つけたし、素晴らしい女なんだと思うわ」
彼女の使った『投資』という言葉。
はたして、彼は出した金額よりも大きなリターンを得るつもりなのだろうか?そこは純粋に疑問だった。
「勿論ね、女性は中身だけじゃないと思うの」
「私も30になって、子供を産んでから思ったんだけどね。──20代のころは見せかけの『美しさ』に固執しすぎていて『ブス』になってたんじゃないかって」
「だけど、リサちゃんは韓国語の練習も頑張ってるし」
「私に韓国の家庭料理のレシピを聞いてくる所を見ても、きっと本当は『凄い優しくて』『人を人として見る目』が養われてると思うのよ」
彼女は、勿論このお金を出しているのがテヒョンだという事も──私とテヒョンの出会い方も何一つ知らないだろう。
だけど、これが何よりも怖い『女性の勘』なのか?
言われている事が、現状とマッチし過ぎていてペットボトルを持った手の動きが止まりそうになる。