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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
『ロケーション・フリー』を利用して、日本のドラマを見ていた生活が一変。韓国語で司会が行われる歌番組ばかり見る様になっていた。
それを嫌がる人物が居る。
そう───。この悪魔、だ。
「何で最近、気が狂ったかの様にこういうのばっかり見てんだよ」
ズンドゥブに箸を付けながら、今にもチャンネルを変えたそうな表情をしているテヒョンは、私がジム終わりに帰宅した18時には既に家に居た。
「アンタこそ、イヤなら職場戻ればいいでしょ。どうせ22時から撮影なのに」
「飯食いに戻ってきたんだよ。わりーのか?第一、オメー聞き流してるだけでマトモに見てねえだろ」
「別に、アンタが家賃も光熱費も払ってるんだし好きにしたらいいと思うけど──ただ!今は私の家でもあるんだから。チャンネル問題にまで口を出さないで!」
ユナに教えてもらったズンドゥブレシピは好評だった。
家庭環境的にも──彼の生活の忙しさ的にも──まともに家庭料理なんか食べていないだろうから、余計に美味しく感じたんだろう。
「今日さ」
「………。」
私が話す事に相槌をしないのは、常日頃だ。
もう慣れたから気にせずに話を進める。
「サイズ図ってないんだけど、きっと痩せてると思うの」
「………。」
「朝起きる時、体軽かったし最近は歩くのもしんどくないんだよね。今朝も5キロまで伸ばしてみたけど体にガタはこなかった。」
「良かったじゃん」
「でしょ?」
ハタから見れば、ただのカップル──いや、熟年夫婦に近い関係かもしれない。
キスもセックスもした事無いし、同じ部屋で寝た事もない。