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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
若いグループの男の子は、憧れの様な眼差しで頭を下げて彼を見つめる。
女の子達も、まるでコーランに出てくるアラーを目撃したかの様な視線を送ったと思えば『ヒロインになりたそうな瞳』で彼を見つめる……。
スーツを着た局の人達も、凄くよそよそしい態度で彼に接していた。
機嫌を損ねない様に──。
腫れ物に触る様に──。
ああ、凄すぎるってのはこういうことなんだ。と身をもって……彼の後ろをついて歩く事で分かった私は呆気に取られた顔でメイク室に居た。
室内には彼専属のメイクさんと私たち3人だけ。
21歳の女性でとても可愛かった。
「ティー、俺のメイク何分で終わる?」
「20分後にはリハしてスタンバイだから10分で終わらせます」
「上出来。リハは15分、本番が10分。合計25分から30分で帰ってくるから」
「……。でも、生放送じゃないでしょ?オッパ、今日到着遅くてリハしてないのに10分の直前リハで大丈夫?」
「カメラワークも他と変わんないし大丈夫。第一、この番組は──。」
口を紡ぐ彼の続きは何となく分かった。視聴率とか人気とか、そういう問題だと思う。まあ悪く言えば『手を抜く』ってやつだ。
こいつ位の次元になれば、ひとつの番組で手を抜いたとしても、そこで新規のファン以前に、ありとあらゆる人気を得てるからあまり関係ないのかもしれない。
「オッパが、そう言うなら良いですけど。」
「その間に、コイツのメイクしといてくれない?」
「リサさん、でしたっけ。オッパが連れてきた女性のことでしょ?」
「そう。コイツ、ちゃんと化粧落とさないし肌ヤバイと思うから一回綺麗にしてやってほしい。それからメイクで仕上げてやって。」
「どんなイメージ?」
「そうだな。」
ソファーに座る私と、すでに下地を塗られているテヒョン、そしてティーと呼ばれているお人形さん三人で一瞬だけ見つめ合う。
「ティーはどう思う?」