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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
韓国アイドルらしい顔、でも何処かの国の王子様の様に品のある。
そんな『サファイアのリーダー』に成った彼は、急いでメイク室を出ていった。今から衣装に着替えて、そのままリハに入るらしい。
「リサさん、メイク落とさないとダメですし時間ないから早めにやっちゃいましょう。」
彼女の英語は韓国人らしいアクセントだった。でも文法も間違えていないし、全然聞き取れる。
「はい。」
女優鏡の前に座らされた私。
「ああ、やっぱりオッパの言う通り。オンニは肌が強いからまだ出てないけど……このまま行くと凄い事になっちゃいますよ」
「凄いこと?」
「シミとシワと法令線、かな」
濡れタオルに、メイク落としと思われる泡をたっぷり含ませてから──あの日テヒョンがやったのと同じ様に、色々な液体を顔に塗られる。
彼女の手は、想像していたよりも固くて丈夫そうな手だった。どちらかと言うとテヒョンの方が、女性らしい柔らかい手をしていたかもしれない。
「オンニは……」
韓国出張の、あの年末以来はじめて呼ばれた『オンニ』というワード。
ジムでは私がユナさんのことをオンニと呼ぶし、何だか慣れていないのもあって変な感覚だ。