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シャネルを着た悪魔
第6章 ☆CHANEL NO6☆
「うん。」
「テヒョンオッパとどういう関係なんですか?」
目を開けると鏡越しに見つめ合う私達。──でも、少女漫画によく出てくるバチバチした閃光煌めく女の争いって要素は一切含まれていない。
ティーちゃんの瞳は……純粋に、テヒョンのことを心配している様な。そんな瞳だった。
「私は、彼と幼馴染み。仕事で韓国に赴任になって…。彼に家探してもらったりお世話になったり」
「オンニ、今目開けた時、韓国ドラマに出てくる様なドロドロした展開を予想したでしょ?」
イタズラっ子の様な笑みは、とても可愛らしかった。
「ええ?分かった?」
思わず、私も口角が上がる。
「もちろん。──…あのね、私。」
「うん?」
「テヒョンオッパの事が凄く大好きなんです。」
「でも、それは人として。そして……言い方は汚いけど【兄貴】の様な存在として。」
「私、17歳から19歳まで売春婦だったんです。しかも凄く安い店のね。母親は、アルコール中毒で育児放棄。父親は虐待」
「父親から殴られてヤられて……母親はアル中だから話になんないし途中で男作って出ていっちゃった。だから売春婦になることに抵抗は無かったの。それよりも早く自分で稼いで、この家を出たいと思ってた」
突如はじまった、重苦しい話に思わず瞳を大きくする。きっと今、私の瞳孔はマックスで開いてるだろう。
「ずっと面倒を見てくれてた、同じ売春組織に属してたお姉さんがテヒョンオッパの大ファンで私もテヒョンオッパを知ったんだけど」
「彼女の口癖は『私がメイクすれば彼はもっと変わる。そしたらもっと売れる』だった。──でも私が19歳の時に彼女はエイズで死んじゃったの。」