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シャネルを着た悪魔
第7章 ☆CHANEL NO7☆
「へえ。じゃあ喫茶店じゃないわけね」
「ああ。クラブバーみたいな感じだな」
「ねえオンニ!ティーも行って良い?」
「うん、行こうよ!」
「やったー!じゃあオッパ5分待ってくれない?急いでメイク道具片付ける。」
「どうせマネヒョンが車回すのにそれくらい掛かるよ。」
心底嬉しそうな顔をしているティーちゃんを見ていると、私も何故か笑顔になった。私の事を散々褒めてくれたけど彼女こそ……人を元気にするパワーがあるんだと思う。
「なあ…」
ソファーに座って、"役に立たない携帯"を触っている私の肩に触れる手。少し熱を感じる。撮影、結構ハードだったのかな。
「ん?」
「あいつの事、頼むわ。あいつも友達居ないから──韓国人でも良いなら、仲良くしてやってくれよ」
「ははっ、私、女性に関しては国籍気にしないけど?」
「ああ?あれだけレイシスト振りかざしてたお前がいきなり何言ってんだよ」
「どの国にも、色々な生い立ちの子が居るのよ。そして言えるのは──国籍関係なく自分の力で這い上がってきた『叩き上げ』私は大好きよ」
「特に女の子なら尚更ね。私……彼女のことは大事にしたいと思う。」
「──聞いたのか?」
「さあ。」
「……あいつは兄弟も居ない。本当に一人なんだ。しかも俺と一緒に仕事してる以上、信用出来る同性の友達は出来ないと思ってるし作るつもりも無いらしい。」
「……。」
だから、さっきテヒョンのことを【兄貴】だと言ったのか。納得だ。
「俺がメイク室に連れて来たのも、ティーにわざわざメイクさせたのもお前が初めてだ。きっとあいつもそれを分かってる」
「だからこそ──あいつは俺が連れてきたリサという女を本当のオンニの様に思うつもりでいるだろうし、既にそう思ってるかもしれない」
「俺の事は──まあ契約だから半年後、離れてもいいし忘れても良い。何も言わない。でもティーの事だけは──裏切らないでやってくれ。」
彼の瞳は真剣そのもの。
これには……ちゃんと答えられそうだ。
「離れないわよ。あんたに言われなくても……。」